(幸せ家族計画そのに「けっこんしき、します。」)
「わぁ、ルル、綺麗だね!」
「あぁ!?ユリウス、貴様今僕が言おうとしたことを・・・・!!これでは僕が二番煎じじゃないか!!」
「大丈夫デスよ、ノエル。綺麗なヒトを褒めル言葉、何度言ってモ、良いものデス。」
「そ、そうか‥‥」
「そうだよ?それに、躊躇ってたら二番どころじゃなくなっちゃうしねぇ。・・・・ね?ルルちゃん。ほんととっても綺麗だねぇ。馬子にも衣裳ってかんじ?」
「アルバロー!!‥‥というか、そもそもそれは、ほめてないじゃないかっ!!」
「やだなぁ、褒めてるって、ほんと、心から」
「エェ。本当に、綺麗デスよ、ルル。連れテ帰っテしまいタイほどデス。」
「わぉ殿下ってば、大胆だねぇ」
「‥‥‥おめーら、祝う気ねーだろ」
「そういうラギ君は、さっきから何も言ってないじゃない?ほら、こぉんなに綺麗なのに。」
「な、アルバロ、てめっ!!」
「あ、あははは、みんな、相変わらずね‥‥」
「 どうでもいいですが、」
さえぎるように彼がおごそかな低音でつぶやいた。にっこり、と美しい微笑みがひとつ浮かぶと、周囲の温度が2、3度下がったような錯覚を覚える。
「何故貴方がたはそちら側に座っているんですか‥‥っ!!」
そう問いかけられた新郎親族席に堂々と居座る旧友たちは、むしろ全員きょとんと、不思議そうに首をかしげた。
「だってほら、俺たち、エスト君のおにーちゃんみたいなもんじゃない?なんだったら呼んでくれても構わないよ?おにーちゃん、って」
「こんな不出来な兄たちを持った覚えはありません。お断りします」
「でも、エストの親戚は来られないでしょう?だったら俺たちでもいた方がバランスもいいし、それに、」
「だーー!!ユリウス!!お前はまたそう余計なことを!!」
「‥‥あー、うるせー‥‥エストも細かいこといちいち気にしてんじゃねぇよ。禿げんぞ?」
くすくす、とルルが楽しそうに笑みをこぼしていて、この現状を仕組んだ張本人は、かなりご満悦らしい。
それを見ていると、ああ、もうどうでもいいかなぁ、とか無意味な虚脱感に襲われるのはいつものことだし、これからもきっとそうなのだろう。それだって今は望むところだと思えるあたり、これはもう、病気に相違ない。
でも、やっぱり、それは、どうなのだろう・・・・・。
とかなんとか頭を抱えるエストの肩に、ぽん、と手が置かれた。
「ルルは、幸せそう、デスね。」
「そう、でしょうか?」
「エェ。愛されている自信のアル、女性の美しさデス。エストも、同じ輝き。ふたりとも、トテモ、素敵デス。 幸せ、なんデスね。」
良かっタ、良かっタ。と、彼の属性にそった水面のように、静かにうかぶ笑み。
以前よりずっと近くなった目線に違和感を覚えるほど、彼のまなざしは深く。見透かされるような錯覚と、見守られている安心感。そう、それは、
「貴方は本当に僕の父親か何かですか‥‥っ!!」
父親を知らないかつての少年でさえ、そうツッコミを入れざるを得ないほどの王族クオリティならば仕方ない。
やんややんやと、それぞれにそれぞれで、祝ってくれている、らしい、旧友たちの姿に、思わずため息をつくのは、呆れ5割、ドン引き3割に、おまけの照れ隠し2割。
(「本当ハ、ルルのエスコートもしてみたカッタのデスが」)
(「だから、貴方は父親か何かなんですか‥‥。」)
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きっとRPG的な狂信派との争いをくぐりぬけたあとだから、みんなエストの事情は知っててほしい、みたいな。
ワンドはこういうこちゃこちゃしたのが楽しい。
20110131