神が鳴ると書いてかみなり。
 空に暗雲。瞬く閃光、響く轟音。


「女学生君、今の見たか!?」
「いまの、って‥‥ああ、雷ですか?」

 きらきら、と目を輝かせる隣の男性へ、ただ「近かったですね。」と少女は淡々と答える。

「きれいですね」

 どーん、と激しい音に一瞬みをすくませながらそれよりも心惹かれることが上回ったのか、男性以上に瞳をきらきらさせて、少女は微笑む。
 その横顔を見つめて、虚を突かれたように、一瞬瞳を瞬かせる。

「君は怖がらないんだ」
「え?‥‥ああ、そうですね。普通なら、可愛く悲鳴あげたりとか、ですよね」

 どうせ女の子らしくないです、と少しだけ拗ねたように。
 ごろごろ、と雷の音も不機嫌そうに響いて。

「いいや?女学生君は、それでいいよ」

 ふわり、少女のやわらかなに指をからめた。
 するりと重力に従って流れ落ちる黒の手触りを楽しむ様に。

「そのままでかわいいから」

 十分すぎるくらい。

 どーん、と再び稲光がひかるけれど、ふたりともそれを見てもいなかった。
 そのすさまじいはずの轟音さえ、気にもせず。

「そのままで十分 」


 言葉の最後はひときわ大きな音と重なって、けれど聞いてはいけない気がするそれは、残念ながら消えることなく少女には届いてしまった。






 僕は好きだからね








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拍手logさん。こっちのほうが古いのかな?


  20150204再録